◆アトランタにて

 アトランタへいったときのことである。

 到着したのは夕方だったが、「花火を見に行こう」、ということになった。
山肌にレーザー光線をあてたりして、ちょっとしたショーがあるらしい。
車をチャーターし、日がとっぷりと沈んだころ会場についた。

 そこはディズニーランドのパレードさながらである。発光する蛍光色の細いループが売られていて、みんなつけている。

 ライトが落ちて音楽が響く。ショーの始まりである。なつかしい曲や流行歌がスピーカーからガンガン聞こえてくると、それにあわせてレーザー光線がいろいろな形をつくりだす。花火はその合間に打ち上がって、ちょっとしたオマケのようなものだった。

 いよいよ終盤かと思われたころ、「わが心のジョージア」(たしかこんな邦題だったと思う)が流れてきた。すると今まで座っていた人々が一斉にたちあがり、大合唱をはじめた。これにはわたしたちもびっくり。そのあとに国歌がながれてお開きとなった。

 帰り際、車のなかで運転手さんはいった。

「またここに戻っておいでね。まっているよ。」

 自分がジョージア州アトランタにいることに誇りを持ったその口調になんだか心が温まる思いがした。

 翌朝、ホテルのコーヒーショップで朝食をとる。
 サービスしてくれたのは黒人のウエートレスで、実にてきぱきとしている。心なしか目の輝きも違う気がした。たまたまそういう人にあっただけかと思って注意してみたが、少なくとも私が見た黒人はみな、何かがちがっていた。
うまく表現できないのだが、体全体が自信にみちあふれていて、目がきれいなのである。

 前日の大合唱と運転手さんの一言。そして、彼女の目の輝き。
(この土地の歴史やいろいろな背景は私にはわからないが)
自分のいる土地を誇りに思う気持ちと、おそらくそこからくるであろう自信を、私は持っていないことに気がついた。

 そして、日本も本当は訪れた人たちに、
「また戻ってきてくださいね」
といえる国でなくてはいけないはずなのだと思った。

 

 

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