|
◆ 羨ましい職業 「職業はなんですか?」 「海外」という響きはとても素敵に聞こえる。日本が島国で、まさしく海を渡らなければ他の国へ行くことができないからかもしれない。昔、その海外へ行くために人は船に乗り、長い月日をかけ、正に命がけで海を渡った。しかし、今では海外に行くのに、飛行機を利用すれば大抵のところへ誰でも行ける。時には、空港までの道のりの方が機内で過ごすよりも長い、という不条理な現象すら存在する。 とはいえ、その海外へ行くにしても、「仕事」がからむと思いは複雑だ。 確かに私は日本国内、世界各国、会社が持っている路線は乗務していた。しかし、現地に到着しても、場合によっては折り返して帰ってきてしまったり、滞在の日にちがあっても、時差ボケで、帰りの乗務を考えると羽目を外せるわけもなく、何とか頼まれた買い物をして帰国するような状態になってしまう。それらはケースバイケースだけれど。 もし、日常的ではない職業を「羨ましい職業」というのなら、おそらく乗務経験のある人なら一度は「OL」をやってみたいと思った事があるのではないだろうか。なぜなら、
「そんなの、あたりまえじゃないですか」
そして、極め付けは、
一番最後の項目に関しては、 たとえ無事に現地に到着したところで、テロ、暴動、天災、戦争勃発・・・。思いつくだけでも今の日本にいるかぎりでは考えにくい状況に出くわす確率がある。幸い私自身はそのようなことで直接被害を被ったことはないけれど。 しかし、ある国に滞在中、地下鉄の駅から階段を上がって地上に出た瞬間、何とも言えない雰囲気に包まれた事があった。あたりは血なまぐさい匂いに包まれている。黄色いテープが張り巡らされた建物やその地面には、明らかに「血」だと思われるものが飛び散っていた。おそらく、銃撃戦でもあったのだろう。警官の人達がその紅い液体をホースの水で洗い流していた。あの時、もし少しでも時間がずれていたら、と思うとさすがに足が震えたものである。 「それはたまたまでしょう?」 また、「スチュワーデス」という仕事は単に「接客する」だけではない、実はもうひとつ、「保安要員」という顔があることをご存知だろうか。簡単にいえば、機内で突発的におこった、「いざ」というときに落着いて行動できるよう訓練されているということ。(この訓練の内容についてはまた別のエッセイでご紹介したいので、詳細はそちらで。)つまり、お客様を救うために、自分の安全はラスト・プライオリティーになる事を念頭に飛行機に乗っていることになる。 だから、私たちが海外へ行くとき、あるいはそれが国内でも、「仕事」という名前でいくかぎり、先程のように羨望の眼差しを投げ掛けられたところで、決して謙遜ではなく、 それにしてもこれだけ「華やかさ」、「きれいさ」のようなものばかりが表面化し、クロ−ズアップされている職業も珍しいと思う。
|