◆癖

 レストランなどにはいると今もってしてしまうことがある。
 それは、そのお店のお食事のみならず、店員さんのサービスの仕方をチェックしてしまうことだ。

 そもそも、その「癖」がついてしまったのは、客室乗務員になってからのこと。職業柄、ひとのサービスが気になって仕方がない。それに、よいサービスは数をこなせば出来るようになるわけでもないので、逆にサービスをされる側になることで相手の立場をわかろうとするのだ。

「若いのにそんな一流のお料理を召し上がるなんて、やはりお給料がいいのね。」
と皮肉たっぷりにいわれたことがあるが、どうか誤解しないでいただきたい。私たちは単に贅沢をしているわけではないのだ。よいサービスを盗むためにわざと背伸びをしてそういうところへでかけていくのである。

 ただマニュアルの通りにサービスするのなら誰でも出来る。が、かぎられたアイテムのなかで満足していただくためにはどうすればいいか?特に経験が浅い時は休みの時も頭からはなれない。

 ところが、場合によっては盗むことよりも、反面教師の場合もありうるわけで、特にコース料理などの時、相手が食事を共にする相手が同業者の場合は最悪である。口では言わなくても感じていることはだいたい同じである。

・オーダーの取り方はどうか
・冷たいものは冷たく,熱いものは熱くなっているか
・お皿を下げるタイミングはどうか

......など無意識のうちにチェックしてしまう。

 一通りお料理が終わりデザートまでくると落ち着くのだが、お料理もサービスもひどい時は、お店をでてから酷評が飛び交う。そして、
「こんなに高いお金を払っているのにひどかった!もうこのお店には来るまい」
と心に誓いつつ、はたと思う。

「自分はそういうサービスをしていなかったか?」

 こんな思いをたくさんすることで、「もてなす」ということの難しさをわかっていったのではないかと自負している。

 しかし、その習慣はいまだに抜けきれないでいる。口に出すことは以前よりも無くなったが、気になってしかたがない。

 どうもこういった接客業に携わった人間はみなそうらしい。一種の職業病とも言えるが、
「そういう目で見られているほうは大変だなぁ」
と、思いつつも今日もまたチェックしてしまうのである。

 

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