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◆「スチュワーデスはお酒が強い!? 〜 国際線リカーサービス」 国際線の機内ではお酒をサービスしているので、 でも、ごめんなさい。私は下戸、いや下戸に近いのである。 飲まないのではなく、飲めない体質なのだ。これは幸か不幸か親から受け継いでしまった。例えば、梅酒の梅。これは一つ食べただけで顔は真っ赤。頭で脈打つ始末。醒めるまで横になっているしかない。 「お酒なんか飲む習慣をつければ少しずつ飲めるようになる」 そんな先輩の言葉を信じて実行してはみたものの、全く成果は上がらなかった。つまるところ「体質」なので事情がちがう。 国内線ではリカーサービス(食事の前にお客様にお飲み物を提供すること)はないので、お酒がわからなくても困ることはなかった。それが国際線に移行するための訓練で勉強するはめになった。 「知識」としてその授業は興味深く、楽しいものだった。しかし、実際に自分たちでカクテルなどを作る授業が最後に(あたりまえのことではあるが)ひかえていたのである。機内に搭載されている物よりもかなり安価なお酒を使って練習をするわけだが、お酒はお酒。授業が終わるころには頭で脈を打っているありさま。 それでもどうにかこうにか国際線でリカーサービスをすることになった。 「サービスする内容を知っていなければ良いサービスはできない」 そう私は思っていたので、いわゆるお酒の飲める友達と一緒に(半ば義務のように)お酒を飲みに行った。いや、正確には試飲というほうがいいかもしれないが。 相変わらずお酒はつよくならなかったものの、その一方で弱なりの利点を発見した。それはアルコールに敏感なことである。舌が敏感なので「味」がわかる。「美味しい」「まずい」がハッキリとわかる。もちろんアルコール度の高さも。 こうしてお酒に対するコンプレックスが少しずつ薄れてきた頃、こんなことがあった。 エコノミークラスでリカーサービスをしていたところ、メニューにはない「ジン・ライム」の注文があった。断ることは簡単である。しかしこういうとき、サービス業とは悲しいもので、むきになってどうにかしてその要望に応えられないものかと悪戦苦闘するものなのだ。そして私は考えた。そうだ、7up(炭酸飲料)にはライムが香り付けとして入っていたはず......。あいにくライムがないのでその代わりにレモンを使うことを了承いただいて、早速取りかかった。プラスティックカップに氷を入れ、ジンをワンフィンガーほどいれる。そのうえから7upを注いで、最後にレモンスライスを添える。 「どうぞ」......さて、どうか。 その後、お客様はおかわりもしてくださったので、私はすっかり気を良くした。そしてその日のサービスがスムーズにいったことはいうまでもない。 そんな話を「試飲」に行っていたお店のマスターに話したところ、 「度胸あるなぁ。でも、そのお客様がおかわりしたっていうことは、美味しかったわけでしょ?喜んでもらえたんだし、それでいいんじゃない?」 そう、やってしまったのだ。私が作ったのは限りなく*トム・コリンズに近いものだったのである。 とはいうものの、おかわりまでしてくださったなんて。一体お客様はどんな気持ちで飲んでくださったのか。もしかしてご存じなかったのかも.....。いずれにしても、そんな心優しい方達に支えられて私たちはサービスしているのだった。
*トム・コリンズ.... ジンベースのカクテル。ジン、レモンジュース、砂糖、をステア(stir : 攪拌)し、氷の入ったグラスいれる。その上からソーダ水を注ぐ。ガーニチャー(garniture)はレモンとチェリー。(提供するときにはstiring stickを添える)ちなみにジン・フィズは上記の材料のなかの氷を除いたもの。 そして、ジンライムはその名の通り、ジンにライムジュースを加えたものに氷がはいている。(ガーニチャーはライム)つまり、「ギムレット」のオンザロックということになる。 このようにカクテルの名前はベースとなるお酒が同じでも、材料によってかなり変化する。
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