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◆ お客様編 〜 ガチャピンとムックがやって来る 新たに配属されてきた後輩は四人だった。自分が乗務し始めたころと彼女達を比べてしまうのだけれど、人数が多いせいもあってだろうか、「緊張している」とは言っても、その質はかなり違っていた。グループフライトの時は、まずたった一人でアサインされることはなかった。つまり、何かあったときに助け合える仲間が、常に一緒に乗務していることになる。傍から見てそれは大変羨ましいことだった。 新人のうち二人は関西出身。この二人が一緒のフライトになると、何故か漫才が始まる。しかも、関西出身先輩がいようものなら、ボケとつっこみのオンパレード。東京出身の私には入り込めない世界が繰り広げられるのである。とはいうものの、にわか観客として結構楽しませてもらっていた。 さて、そんな彼女達がチェックアウトしてからのこと。ショウアップして自分の名前を消すと(このことで「自分は出社している」ということになる)、 ブリーフィングが始まった。これはコックピット・ブリーフィングの前にキャビンを担当する私たちがどのようなサービスをするかなど打ち合わせをするためのものだ。ちなみにコックピット・ブリーフィングでは、フライトの運行状況、高度や速度、そして緊急事態に備えての事柄の打ちあわせをする。 「おはようございます。皆さんも気が付いていらっしゃると思いますが、早朝便にSpecialがあります・・・。」 「テレビの取材が入ります。」 「その取材なんですが、『ひらけ!ポンキッキ』のガチャピンとムックがプリフライト・チェックをしているクルーを紹介する、というものだそうです。」 「ああ、そういえば、いろいろな仕事の紹介のコーナーってやっていますよ。」 「関西方面でも放映しているんでしょう?きっとテレビに映ったら、お家の方も見られるでしょう。」 Shipに乗り込んで通常のチェックが終了した頃、テレビクルーが到着した。勿論、キグルミのガチャピンとムックも一緒である。しかし、まだ足の部分しか着ていなかった。キャラクターとは似ても似つかない(あたりまえか(笑))、青年二人だった。 「ひらけ!ポンキッキ!」は私が小さいときから放映されているもので、ガチャピンは恐竜の子供をモデルにしたような黄緑色のキャラクター。ムックはどうも雪男の子供、という設定らしいので、赤い毛むくじゃらで、何故か頭のてっぺんにプロペラを付けている。子供の時に見ていた彼らが年もとらずに(当たり前だけれど)目の前にいる。このチャンス、滅多にあるものではない。思わず私の取った行動とは・・・・。 カメラがまわっていないとき、私は何気なくムックの背後にまわり、その毛並みを確かめた。そして、次いでにガチャピンの尻尾の感触も・・・。そして思わず私は、 撮影の最中は音声の録音は全くなかった。後からキャラクターの声をかぶせるのだそうだ。それにしても、物言わぬキャラクターほど笑えるものはない。ジェスチャーだけでその場の会話を成り立たせてしまうのである。 たとえば「驚く」という仕草は、ちょっと間をためてから両手をパッと広げる。キグルミだから実際にその中に入っている人よりも、手足の長さのバランスが短い。それを無理してパッと手を広げるのだから「声」がないだけに滑稽である。しかも、中に入っているお兄さん達の顔は撮影が始まる間際まで見ていたし。 「ハイ、結構です〜!」 そして、オンエアーの日。 「Nちゃん、映ってたね〜!」 素敵な「ママさんスチュワーデス」は多くいらっしゃるけれど、現実的にメディアが欲するイメージは違っていた。 以前、先輩から言われた事があるけれど、 でも、ここで声を大にして言っておきたい。
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